敷島ヤマトさんとか、岡本さんとか、伊藤くんとか・・・
もうその他もろもろの方々に触発されてしまった。
短歌ストーリー、作ってしまいました。
もったいないので載せておきます。
褒め言葉にはツンデレーションで対応させていただきます、あしからず(ほんとかいな)
またフラれたの?
しゃっくりを止められないままぼろぼろと涙をこぼして、まぁちゃんはコクン、とやった。
それからまた泣く。ひっひっ、うぁ、っく、と泣く。
ねえここ僕の部屋なんだけど。何か僕が泣かしたみたいじゃない。ちょびっと近所迷惑だし。
そういう言葉があぶくみたいにぽこぽこ浮かんでは声にならずに消えた。ていうか、声になっても多分まぁちゃんの泣き声で聞こえないだろう。
だってね、ずっと思わせぶりだったんだよ。いつもニコニコしてくれて、メールの返事も早くて、いろいろ遊びに誘ってくれて、電話もした。ひどいよ、裏切られた、ひどいよ。いつだって泣きそうだったのに、嬉しかったのに、散々振り回して、彼女がいることなんで隠してたの、もうやだ、もうやだ、ひどい・・・
ひどいを散々繰り返したあと、まぁちゃんの言葉はただの嗚咽に戻った。
気持ちを包むように、僕はまぁちゃんの頭をなでた。
彼女はね、ずっとあたしとあの人を見てたのに、何も言わなかったの。だから気付かなかった。「彼氏なの」って言って欲しかった。あたしあの子を信じてたのに。好きな人がいるって、相談したのに、何も言ってくれなかった。どう考えたって、あたしが好きだってこと分かるじゃん、ふざけんな、最悪、もう信じられない・・・ねえ、ふたりであたしのメールとかも見てたのかなぁ?・・・あぁもうやだ死にたい
僕は、ただただ何も言えずに頭をなでる。背中をさする。
僕の部屋のじゅうたんが、まぁちゃんがいる場所だけしっとりしている。そこから涙のにおいがする。3月も終わりって言うのに、外は白い息が出るくらい寒いから、僕の部屋は密室だった。涙のにおいが充満していく。水たまりの中にいるみたい。おぼれないけど、肌寒い。
何か言った方がいいのかな、ちょうどそう思ったときにまぁちゃんが僕を見た。
ねえ、石野くんがあたしにフラれたときもそうだったの。こういう気持ちだったの。
僕じゃない部分が反応して、僕のほっぺたが引きつる。
知らない。
ねえ。
知らねぇよ。
自分のクセに。馬鹿。
まぁちゃんはそのまま僕に寄りかかる。いしのくんのばーかー。
僕の手は寄り添われた頭をなでることもできなくなって、仕方なく後ろで体を支える。
そのままじっと黙っていた。まぁちゃんは身動きひとつしなかった。僕の心臓だけが馬鹿正直にどくどく騒ぐ。
僕は窒息しそうになりながら、まぁちゃんの視線の先にある習字コンテストの賞状を見ていた。
しばらくして、僕の部屋の鳩時計がパッポー、パッポー、パッポー、パッポー、パッポーと鳴く。
ねえもう5時だよ、帰れば。そう言おうとして、まぁちゃんを見ると、彼女はまた泣いていた。でも、さっきみたいな嗚咽を繰り返すうるさい泣き方じゃなくて、何も考えなくても自動的にするすると水がでてくる泣き方だった。
見開いた二重瞼のまなこから、するするぽとん、と思い出が落ちる。
僕は帰ればなんて言えなくなった。冷静さを取り戻したはずの心臓が、また騒ぎ出したのだ。どくどくどころか、ばこばこ。和太鼓の演奏みたいに、体をぐわん、ぐわんと震わす。
もうどうしようもないです、神様。まぁちゃんは、小悪魔。
石野くんは、あたしにフラれているのに。
まぁちゃんがそう言う限り、僕に希望なんて無いのに。
どうか君泣かないでくれ、これ以上揺さぶられると抱きしめちゃうよPR